
★どんな本
少年コペル君が日常の中で、気づき、考え、苦悩する姿と
そんなコペル君に大切なことを伝えようとするおじさんの言葉から
今の時代に、今の時代だからこそ、私たちが『どう生きるのか』を考えさせられる一冊。
「人間として生きていること」とは?
「人間として大切にすること」とは?
「本当の意味で立派な人間」とは?
漫画での表現により、読みやすく分かりやすくなっています。
⭐︎目次
1、へんな経験
2、勇ましき友 全編
3、勇ましき友 後編
4、ニュートンの林檎と粉ミルク
5、貧しき友
6、ナポレオンと4人の少年
7、雪に日の出来事 全編
8、雪の日の出来事 後編
9、石段の思い出
10、凱旋
11、春の朝
★どんな著者
原作:吉野源三郎(よしの げんさぶろう)
編集者・児童文学者。1899(明治32)年〜1981(昭和56年)年。
雑誌『世界』初代編集長、岩波少年文庫の創設にも尽力。
漫画:羽賀翔一(はが しょういち)
漫画家。2010年、『インチキ君』で第27回MANGA OPEN奨励賞受賞。
★学び
人間の価値はどこにある?
人間の本当の値打ちは、いうまでもなく、その人の着物や住居や食物にあるわけじゃない。
私自身も経験してきたことの1つとして、人は外見や持っているもの(所有物・能力・知識)、そして生まれた環境で人を判断することがある。
1つのものさしで、自分の価値観で、時には人の可能性を見限ってしまう。
しかし、本当の人間の価値が、外見や持っているものや生まれた環境に左右されないのだとしたら、可能性を見限ってしまうことはとても、もったいないことである。
「人間の価値とは、どこにあるのか?」と常に問いをたてることは、
そんなもったいないことを少しでも無くす上で、とても大切だと思う。
きっと正解はなく、人それぞれの答えがある。
大切なのはその価値観を人に押し付けないことだ。
その価値観をお互いに認め合うことだ。
時々、「人間の価値とは、どこにあるのか?」と問いかけることで、
自分なりの答えと、自分自身が価値を証明できているかの確認と合わせて、
自分の考えが全てではないこと、もっと他に良い考えがあるかもしれないと考える
良い機会になると感じた。
『ありがたい』ということ
大多数の人々は人間らしいくらしができていないでいるということが、僕たちの時代で、何よりも大きな問題となっているからだ。
君のように何の妨げもなく勉強ができ、自分の才能を思うままに伸ばしていけるということが、どんなにありがとたいことか、ということだ。
自分の現状がどれだけ幸福なことか知るために情報を得ることは重要である。
わたしは、以前、辛いこと・苦しいことがあったために、自分をまるで世界で一番不幸な人間だと思ってしまったことがある。
その時、知らなかった、想像していなかった。
今、この時に、明日の食べるものを確保するために生きる人がいることを。
もしかしたら明日死ぬかもしれない場所で、死の恐怖に脅えて暮らすしかない人がいること。
紛争により、家を出るしかなく、住む場所も仕事も見つからないまま不安な日々を生きている人がいること。
学校に行きたくとも、女性として生まれたというだけで、その権利を否定されてしまう人がいること。
自分の悩いんでいたことの小ささに、気がついた。
と同時に、自分の現状がとても恵まれていることに、その「ありがたさ」を実感した。
私は十分、幸せであったことに気がついた。
自分の現状に「ありがたさ」を感じ、感謝できた時、
この幸福な環境に自分がいることに意味があると感じた。
幸福だからこそ、人々の幸福に貢献できる。
世界の大きな問題を見ないふりするのか、
自分ができることは何か考えるのか、
この時代に自分がとても幸福にいきていることへの感謝と
その意味を考え直すことは
今後の自分の意思決定や行動の質を上げてくれる。
目的を持つことで生み出されるエネルギー
実行力といい、活動力といい、すばらしい精力といっても、それはいったいなんだろう。それは、人間が何かあることをなしとげてゆく力ではないか。この世の中に何かある目的を実現してゆく力ではないか。
何か成し遂げたいことや実現したいことがある時、
どうしても大切にしたいものや守りたいものがある時、
人は大きな力を発揮する。
「他喜力」というものがある。
過去、女子サッカーのなでしこチームが、実力では圧倒的に上だと言われていた
アメリカのチームに勝ち、優勝した。
この時、なでしこのチームメンバーがなぜ戦っていたかを知れば、目的の大切さがわかる。
彼女たちは、被災した東北の人々に少しでも笑顔や元気を届けるために戦った。
その強く、明確な目的は彼女たちの力を引き出し、奇跡を起こした。
何のために、
誰のために、
なぜ、
行うのか。
普段から問いかけ、明確にすることで
エネルギーが湧いてくる。
自分で自分を決定する力
僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている。
だから誤りを犯すこともある。
しかし、___
僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている。
だから、誤りから立ち直ることおできるのだ。
人間だから、間違えることもある。
間違いと向き合うことは、恐怖や苦しさを伴うことが多いため、
逃げてしまうことが多い。
私自身も、過去たくさんの後悔をしてきた。
人を傷つけたこと、約束を守れなかったこと、人を信じきれなかったこと。
向き合うのが怖くて、逃げている時、自信がどんどんなくなっていった。
しかし、その恐怖や苦しみは人間が本来どう生きるべきかを深く認識させる。
恐怖や苦しさを伴うのも、自信をなくすのも、
本来人間として歩むべき道があり、そこから逸れているから。
過去はやり直せないのなら、できることは、しっかり向き合い、今度同じような状況になった時に、後悔しない選択をすること。
本書から感じた強いメッセージは、「1つの間違いで人生が終わるなんてことはなく、間違いから何を学び、次回どのように行動するかで、人はどこからでもやり直せるし、どこまででもよくなれる」ということ。
人生は自分で決めていけるのだ。
★こんな人にオススメ
✳ 自分が今後どう生きるか考えている人
✳ 過去に自分がしたことに後悔している人
✳ この時代をより良くしたいと考えている人