~砂漠~ Readerなつみvol.1

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砂漠

★どんな本

たまたま同じ大学で出会い友人になった5人の男女の大学生活。
その中で起こる波乱万丈な出来事を通じ絆を深め、自らを成長させていく伊坂幸太郎による青春小説。

物語は、
主人公である北村の、周囲を見下しがちの「鳥瞰型」と揶揄されるような目線で描かれている。
そして北村を取り囲む4人の個性的な男女が経験する、“普通の”学生では経験することのない出来事や事件。
その過程で力ない自分に悩み、葛藤し、それでも手探りで前へ進んでいく。

《砂漠に雪を降らせてみせよう》

“砂漠”と“雪”は本来交わることのないもの。
砂漠に雪が「降るのを待つ」のではなく「降らせてみせる」という言葉からは、奇跡が起こるのを待つのではなく、自らの手で奇跡を起こしていく物語であることを表している。

そしてこの言葉の通り、
辛いことがあった時や仲間のピンチには
誰かが助けてくれるのを待つのではなく、
1人1人が力強く、本気で立ち向かっていく。

一瞬で過ぎてゆく、
二度とない彼らの学生生活は
輝きも笑いも、
痛みも迷いも全てが小さな奇跡の連続で、
自分の毎日がどれだけ愛おしいものであるかを思い出させてくれる、
そんな青春小説だ。

★どんな著者

○伊坂幸太郎

1971年、千葉県生まれ。
2000年に『オーデュポンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。
第4作の『重力ピエロ』でブレイク。
『ゴールデンスランバー』では山本五郎賞と本屋大賞を受賞。本屋大賞では第1回から第6回まで毎回トップ10にノミネートされていた。

主に若者や、女性からの人気が高い。
登場人物達の軽妙な語り口が特徴で、周到に張り巡らされた伏線を終盤で一気に回収していく構成の作品が多い。
作品の多くが映画化されている。

★学び

違いは素晴らしい

この物語は、“たまたま”出会い仲良くなった5人の男女と、彼らを取り囲む人々の織りなす日常を描いた話だ。
それも、“超”個性的な。

冷めた性格の主人公もいれば、極端に正義感の強い男もいる。
クールで、多数の男に交際を申し込まれては断っている大学一の美女もいれば、軽薄で女好きの男やシャイで明るい笑顔が魅力的な女の子もいる。

他にも強烈な個性を持った、しかしこの世の中に必ずいるような人達が共に生きている。

1つの出来事に対してもたくさんの意見がぶつかる。
たくさんの視点からたくさんの感情が生まれる。

そしてそれらすべてが奇跡を起こす。
どれが欠けても、誰が欠けてもその奇跡を起こすことはできていなかっただろう。

「違いは違いであって間違いではない。」

この言葉がこの物語を読んで、
心の底にストンと落ちたような気がした。

確固たる自信を持つ

「砂漠に雪を降らせてみせよう」
冒頭でも書きましたが、彼らは奇跡が起こるのを待っているのではなく、自らの手で奇跡を起こしてゆく。

本作で登場する主要な5人のうちの一人、西嶋。
極端の正義感と独特な言い回しが特徴で、しばし周りを呆れさせることもあるが、
彼の行動や言葉に仲間たちは強く惹きつけられ、動かされていく。

「西嶋は臆さない」

シンプルだが、この言葉に全てが詰まっていると私は感じた。
確固たる自信と書いたが、西嶋は自分に誇りを持っているのだろう。
自分が感じたこと、憤ったこと、全てを行動で完結してゆく。
その過程でどんな困難や痛み、葛藤があったとしても、決してその生き方を曲げることをしない。
自分に正直に生き続け、違和感を許さない、
そんな生き方がたくさんの奇跡を作り出し
自分を、周りを強くしてゆく。

この国の大半の人間たちはね、
馬鹿を見ることを恐れて、
何にもしないじゃないですか。
馬鹿を見ることを死ぬほど恐れている、
馬鹿ばっかりですよ

この言葉にとても強く背中を叩かれた気がした。

4月のこの時期、新しい環境に飛び込んでゆく人がたくさんいるだろう。
たくさんの挑戦と、そして諦めが生まれるだろう。

迷い、葛藤した時はこの言葉を、この小説を是非思い出して欲しいと思う。

★こんな人にオススメ

・ありのまま生き、毎日輝かせたい人。
・もやもやしているものをすっきりさせたい人。
・新しい環境に飛び込む人。

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