〜ジェンダーで学ぶ文化人類学〜 Readerひとみvol.3

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ジェンダーで学ぶ文化人類学

★どんな本

文化人類学という言葉を聞いたことがある人はどれくらいいるだろうか。
これは学問分野の一つであり、人間の生活様式(日々の生活や活動)について研究するものである。

民族史から言語研究、また婚姻をはじめとする社会制度やそれらを形作る要素となる宗教、神話等を対象としており、実に幅広い分野だということができる。
また文化人類学の研究においては、往々にして、フィールドワークと言われる実地調査が伴う。現地に足を運び、書籍やデータからは分からない人々の暮らしぶりや、まだまだ資料として残されていない話を直接、聞き出していくことがある。

そんな文化人類学をジェンダーという観点から紐解いていく一冊である。

★どんな著者

田中雅一
1955年生まれ。
日本の文化人類学者であり、京都大学人文科学研究所教授である。
南アジアを研究対象とし、ジェンダー論について論じている。

中谷文美
1963年生まれ。
日本の文化人類学者であり、オックスフォード大学修了。
岡山大学副学長、グローバル・ディスカバリー・プログラム設置準備室長等を歴任。
バリ島を中心とするインドネシア農村社会の社会変化と女性労働や東南アジアにおける近代家族像の変遷と実態、日本におけるアジアン雑貨の表象と消費、現代オランダ社会における仕事の人類学的研究などを行っている。

(Wikipediaより)

★学び

自分らしい生き方を定めることの重要性

今この瞬間も世界のどこかでは、パンひとかけらさえも口にすることができなくて命を落としていく子どもがいたり、銃弾の恐怖におびえて眠れない夜を過ごしている人がいたりする。
常に生命の危機に迫られている人がいる現実がある。

しかし、それに対して、今の日本社会は、世界のあらゆる国々と比較した時に、本当に恵まれている。
おいしいご飯が食べられて、あたたかい家があって、心やすらかに眠ることができる。衣食住に困ることが、他の国と比べた時に圧倒的に少ない。また確かにGDP等の順位が下がったとは言え、それでもやはり経済大国と言うことができるほど安定した経済がある。
恵まれているところを挙げだしたら、キリがないほどである。

今の日本に生きていて、生物として、生命の危機を感じることはそうそうないだろう。
しかし人間という観点で考えた時に、全く危機感を感じないという人はいないのではないだろうか。

男性はこうあるべき、女性はこうあるべきという社会的な制限や括りの中で生きづらさを感じている人も少なからずいるのではないだろうか。
一人ひとりが“人として”、本当の意味で自由にのびのびと、その人らしく生きられているだろうか。その観点をこの本はついてくれている。

日本社会には長年の慣習として性役割分業というものが根付いている。
簡単に説明すると、男性は社会で働き、女性は家庭を守るものであるという考え方のことである。
また「男の子なんだから、泣いちゃダメ。」「女の子なんだから、もっとおしとやかにしなさい。」という言葉をかけられた記憶がある人も多いのではないだろうか。こういった無意識のうちに行われる言葉かけもまた、上記のような性別に対する固定観念から来るものなのである。

こういったジェンダー感に縛られて生きることが、この日本ではずっと社会にスタンダードであった。

そのような社会から、近年になってようやく女性の積極的な社会進出が肯定されるように、望めば社会で働けるようにも変化していきている。
しかし、同時にガラスの天井と言った言葉の存在が示しているように、女性が本当の意味で男性と同等に扱われるのはまだまだ難しい現実もあるとするデータも多く存在する。

そんなジェンダー感に対して、この本では一つの問いが提示されている。

「育児をしない男を、父とは呼ばない」というキャッチコピーを使った厚生省(当時)の少子化対策キャンペーンが話題を呼んだ。このコビーが新鮮な響きをもち、さまざまな議論を喚起したのは、なぜか。

このキャッチコピーには育児を実践していない男性の多さを指摘しつつ、子育て=女性の仕事とするいまなお広く浸透している既成概念を浮かび上がらせている。

そしてこれに対して、この本の中では、

「産む性」とされる女性はその当然の帰結として家事・育児を担う存在と規定され、そのことが女性たちの経済活動にも大きな影響を及ぼしてきた。

とも述べられている。

本当に悔しいことだけれど、「男性が働き、女性が家庭を守る」というジェンダー感によって、女性が経済的な自由が得られず、そのことによって男性に依存せざるを得ず、家庭という領域から脱出できずにもいるのである。

ジェンダー感を変えていくことが先なのか、女性が経済的にも力を付けて男性に頼らずとも生きられるように変わっていくことが先なのか。
実に難しい問題であるが、だからこそ社会全体がこの問題に当事者意識を持って取り組んでいくことが大切である。

またこのジェンダー感に縛られたくないと心から思う人がいるのであれば、その人自身がまず自分がこれからどうしていきたいのかという人生観や軸を明確に持ち、それを発信していけるようになっていくことも同時に必要不可欠であると私はこの本を読んで思った。
その自分らしい生き方を定めて貫こうとする姿に人や社会は共感し、今まで以上に力をかしていこうときっと動いていくと思うから。

★こんな人にオススメ

✳文化人類学やジェンダー学について知りたい人
✳世界の人々の生活について知りたい人
✳男女の性差問題に関心がある人
etc…

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