~最高の学級づくりパーフェクトガイド 指導力のある教師が知っていること~ Readerかんvol.4

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最高の学級づくりパーフェクトガイド

☆どんな本

現代社会は、「チームの時代」と呼ばれています。世の中が複雑化・高度化し、そこで生まれる難解な課題を解決するには、過去の解答例などが使えず一人で考えるには手に負えないものが多くなり、チームでアイデアを出し合いアクションを起こす「チーム力」が求められるようになりました。

本著の表紙の裏にはこのような言葉が記されている。本著にも何度も出てくる「チーム力」を育てる学級経営の方法だけでなく、指導における考え方や教師が示すリーダーとしての在り方、目に見えない雰囲気のつくり方まで本著には記されている。また、本著は「チーム力」を高める学級経営を行う上でのガイドの役割も有している。本著はテーマごとに章立てされている。そして各章の終わりにはテーマに沿った本を紹介している。「チーム力」を高める学級経営を行う上で必要な情報を網羅的かつ体系的に理解することが出来るのが本著の強みである。

☆どんな著者

赤坂真二
1965年新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院教授。学校心理士。19年間の小学校勤務では、アドラー心理学的アプローチの学級経営に取り組み、子どものやる気と自信を高める学級づくりについて実証的な研究を進めてきた。2008年4月から、即戦力となる若手教師の育成、主に小中学校現職教師の再教育に関わりながら、講演や執筆を行う。

☆学び

①教師のリーダーシップの変換

学校における教員、特に小学校における担任教師は皆さんの目にはどのように映っていただろうか。良い教師とはどのような教師のことを言うのだろうか。統率力があり、生徒をまとめ上げることが出来る教師、厳しくも愛があり、生徒の人生の師となることが出来るような教師、他にも良いされる教師には人それぞれのイメージがあることだと思う。
しかしながら、良いとされる教師には少なからずリーダーシップ力が備わっているのではないだろうか。では、どのようなリーダーシップが教師には求められているのだろう。教師が示すべきリーダーシップについて、本著では示されている。
本著の中では、教師の示すべきリーダーシップについて以下のように書いている。

直接的影響者から間接的影響者にリーダーシップを変換させていく

本著では、学級経営を通して、育てたい子どもの姿として、

先生がいないとダメな生活から、先生がいなくてもやれる生活に変換

と記されている。そのためには、いつまでも教師が直接的に学級に働きかけるようでは生徒は育ちにくい。次第に、直接的にではなく、間接的に生徒に影響を与えることが出来るような存在になる必要がある。このような教師の役割の変化について、著者は野球のポジションに例えて示している。
第一段階は、ピッチャーとして直接的に生徒にボールを投げ込む必要がある。直接的に学びや体験、問いかけや教えなどを投げ込むことで生徒に働きかける役割である。第二段階は、キャッチャーとして生徒の行動や言動に対して、答えたり、評価したり、リアクションを示すなどを市、生徒の適切な行動や良い変化を受け止める役割へと変化していくのである。第三段階は、子ども同士でのやり取りや掛け合いを見守り、子どもたち同士を評価したり、指導を入れる役割に移る。そして第四段階では、観客の役割になる。最後は子どもを見守り、応援することが役割なのである。子どもたちの成功はともに喜び、失敗は悔しがる。そして、失敗の場合は子どもたち同士で改善策を考えるのである。徐々に立場を変化し、子ども同士で影響を与え合えるように役割をシフトしていくことが、生徒の成長につながるという。
しかし、どの段階においても教師が果たすべき役割がある。それがグランドキーパーである。環境整備はどの段階においても重要である。備品や掲示物の破損などの物理的環境だけでなく、言語環境や雰囲気などの身に見えない環境も教師が整備する必要がある。子どもがより良い環境で生活し、より良く学ぶためには、日々の環境整備は学級経営の土台となるのである。

②学級目標って必要ですか?

今年度、担任として子どもたちとかかわる中で「学級目標」の存在について、何度も疑ってきた。私自身は1年間のゴールとして学級目標を設定し、常日頃から学級目標への意識づけをおこなってきた。しかしながら、学級目標が生徒にどのような変化を与えていたか実感が薄い。どのように学級目標を活用することで生徒の成長や変化、チーム力の向上に生かすことが出来るのだろうか。
そもそも、学級とは子どもが集まることで成立している。そこには選択や希望はなく、子どもたちはクラス替えで決まった学級に所属することになる。しかしながら、子どもたちは半強制的に所属することを決められた学級という場所で生活することになる。学級という空間で組織について学ぶことになる。組織と単なる人の集まりには大きな差異がある。それは

目的達成のために相互作用を必要とするかしないか

である。
共通の目的達成のために、人と人とが協力し合い、働きかけをし合うことで成り立つのが組織である。しかし学級に集まった生徒には共通の目的はない。勉強に力を入れている生徒もいれば、部活に精を出している生徒もいる。中には、外部でスポーツをしていたり、音楽を専攻していたり、現代ではゲームやYouTubeに熱中している生徒もいる。そのようなばらばらの価値観や目的・目標をもっている子どもたちを一つのチームにしていくためには共通の目標を明確にすることが欠かせない。その役割を果たすのが学級目標なのである。
ではどのように学級目標を活用することで、学級のチーム力を高めることが出来るのだろうか。そのためには、いつも学級目標を達成したいと思わせるようにすることが重要だという。そのような学級目標をつくるためには、次の二つの条件があるという。一つ目が、学級目標を価値あるものにすることである。二つ目が学級目標達成の見通しを持たせることである。この二つを満たすことで、いつでも達成したくなるような学級目標をつくることが出来るという。
そこで、いつでも達成したくなるような学級目標をつくるために、著者が提案しているアイデアが二つある。一つが学級目標をキャラクター化することである。学級目標をつくる際に子どもたち一人ひとりの意見を吸い上げ、全員の意見が反映されるようにする。そうして完成した学級目標を文章のままで終わらせるのではなく、キャラクター化することで意味だけでなく、視覚的にも子どもにとって価値あるものにしていくのである。また、学級目標を具現化したキャラクターをクラスのシンボルマークにすることで、常に学級目標を意識することにもつながる。キャラクター化する過程で生徒同士での活動も生まれ、そこでも人間関係構築もできる。このように、学級目標をキャラクター化することで様々な効果が得られるのである。
もう一つが学級目標を評価することである。著者が実践していた事例としては、協力を学級目標に取り入れていたクラスでは、一日の中で協力する姿や立派な姿を見せた生徒を帰りの会で推薦し、クラスの8割が賛成すれば表彰されるというシステムをつくっていたそうだ。そして、表彰が決まった生徒にはシンボルマークとなるキャラクターをプレゼントする。キャラクターが徐々に蓄積され、一年が過ぎるころには多くのキャラクターがクラスに飾られることになる。そうすることで、クラスの成長や変化を視覚化することもできる。このような事例を知り、成長の視覚化、評価の視覚化を行うことの重要性を強く実感した。

学級目標以外にも、ルールのつくり方や生徒との関係の築き方、問題を起こす生徒の要因なども本著には記されている。学級経営について多面的に知り、かつ、実践に活かせるアイデアがいくつも手に入るのが本著の大きな魅力だと言える。

☆こんな人におすすめ

・教育や育成に関わっている人
・子どもの育成に頭を悩ませている人
・人がいかにして成長するのかに興味がある人
・組織づくりに関わる仕事をしている人、したい人
・生徒同士の関係構築に頭を悩ませている人
・学級経営について興味がある人

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