~ティール組織~Readerかんvol.8

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☆どんな本

人類の誕生から現在に至るまで、様々な組織体系が誕生してきた。人類のパラダイムが変化するとともに、組織形態は発達していった。本著では、第1章で人類のパラダイムの変化と組織の発達段階を解き明かしている。そして、第2章では新たに生まれたパラダイムである『進化型(ティール)』がもたらした新しい組織体系『ティール組織』とはどのようなものなのかを明らかにしている。第3章では、『ティール組織』をどのようにつくるのかが記されている。新しい時代に適応する組織をつくるためには、ぜひとも触れてもらいたい一冊である。

☆どんな著者

フレデリック・ラルー
マッキンゼーで10年以上にわたり組織変革プロジェクトに携わったのち、エグゼクティブ・アドバイザー/コーチ/ファシリテーターとして独立。2年半にわたって新しい組織モデルについて世界中の組織の調査を行い、本書を執筆。12か国語に翻訳され、20万部を超えるベストセラーとなる。現在は家族との生活を大切にしながら、コーチや講演活動などを行い、本書のメッセージを伝えている。

☆学び

変化するパラダイムと組織の発達段階

人類のパラダイムの変化とともに、組織は発達を遂げていった。新たに誕生したパラダイムを乗り越えるために、組織の発達が必要だったのである。
人類が誕生し、最初に誕生したのが受動型パラダイムである。集団規模は十数人の小さな組織の中で生活するようになった受動型パラダイムから徐々に進化を遂げ、神秘型パラダイム、衝動型パラダイム、順応型パラダイム、達成型パラダイム、多元型パラダイムと徐々に変化を遂げ、近年新しくみられるようになったのが進化型パラダイムである。

例えば、衝動型パラダイムを持っているときの人類は「俺はこれをほしい。だからいただく。」というような、衝動的な意思決定が行われる。これは、今から約1万年ほど前に生まれた思考のパラダイムである。このようなパラダイムを持っている人々にとって、都合の良い組織が衝動型組織である。

衝動型組織は「俺はこれをほしい。だからいただく」という衝動的な行動パターンに立脚しているため、組織としては脆弱である。だから、トップは常に残虐性を示し、恐怖と服従で支配することになる。現代でいえば、暴力団のような組織が衝動型パラダイムだといえる。

ここで、注目したいところがある。それは、衝動型組織の良し悪しを問うのではなく、衝動型組織は衝動型パラダイムで生きている人々の願いや欲求を満たすために存在しているということである。

かつて、人々には衝動型パラダイムしか存在していなかった。そのため、人類の歴史上、組織という概念が誕生した当初は衝動型組織しか存在しなかった。しかし、時代が進むにつれ、新たなパラダイムをもった人々が増えるようになる。それにつれて、徐々に組織の形も変わるようになる。

衝動型パラダイムの次に生まれた順応型パラダイムでは、衝動型パラダイムとは異なり、今ほしいもののためだけに行動するのではなく、過去から現在、未来へと続く時間の流れを把握して、将来に向けた計画を立てることができるようになる。そのため、人々は徐々に、自分を律する能力を身につけることになる。

そして、順応型パラダイムの人々の生きる社会の中では

<引用> 何を行うにも、人々に受け入れられた正しい方法が一つあり、それに基づく単純なモラルがある。(中略)つまり正しい世界を成り立たせる不変の法則があって、物事は常に「正しい」か「正しくない」に分類される。

このようなパラダイムをもつ人々の願いや欲求を叶えるために誕生した順応型組織では、プロセスを重視した組織形成が行われる。この組織が持っている前提には

<引用>物事を行う正しい方法は一つ。そして世界は不変だ。過去にうまくいったことは将来もうまくいく。

という前提が敷かれている。そのため、複雑化したマニュアルや前年踏襲の年間計画などを用いた組織運営が行われる。プロセスさえ行えれば、前年同様の成果が出せると考えられているため、同じ役割なら大量に人員を入れ替えることができる。
現代でいう大半の政府機関や公立学校、宗教団体、軍隊などが順応型組織に属している。

さらに人類が進化を遂げ、達成型パラダイムが誕生する。達成型パラダイムでは目に見えるもの、触れられるものが価値として認識される。より物質的なものが価値として認められるようになる。
達成型パラダイムの人々は出世する、人生の伴侶を見つける、新しい家に筆耕す、新車を買うといった目標を達成すると幸福感を得るという考えを前提に生活している。そのため、
<引用>達成型パラダイムでは自分で定めた目標を達成するために何をすべきかを考えることに夢中になって、事実上未来を生きている。今の瞬間を振り返り、達成型の視点を持てたことで得た利益と自由に感謝することはほとんどない。

このようなパラダイムを具現化したものがまさに、現代のグローバル企業である。イノベーション、説明責任、実力主義の三つの考え方をベースに、物質的な豊かさを求めて組織運営が行われる。より効率よく組織運営を行うために、組織形態は階層的になる。トップの意思決定に対して、下位層にいる人々が従うということが行われる。

しかし、このような組織体系に疑問をもつ人々が生まれる。そのようなパラダイムが多元的パラダイムである。多元的パラダイムの人々は達成型パラダイムの影を意識している。つまり、物質主義、社会的不平等、コミュニティーの喪失という点についてである。

<引用>多元型は人々の感情にきわめて敏感である。あらゆる考え方は等しく尊重されるべきであり、公平、平等、調和、コミュニティー、協力、コンセンサスを求める。この見方に基づいて自発的に動くには、誰とでも密接で協調的なつながりを築くよう努力しなければならない。

このような見方に立って仕事をしている人にとっては、成果よりも人間関係の方が価値は高い。そのため、達成型組織では意思決定にトップダウンが用いられていたものの、多元的組織ではボトムアップが重視されるようになる。
多元的組織では、権限の委譲、価値観を重視する文化と心を揺さぶるような存在目的、多数のステークホルダーの視点を生かすことが重視される。

現代の企業の多くは、達成型組織と多元的組織のどちらかに分類される。達成型組織はしばしば機会に例えられる。社員が歯車のように回ることで組織に成果をもたらすことができる。歯車として適切に回るために必要な目標が与えられ、日々その目標が達成できるかどうか管理することが上司の役割になる。

それに対して、多元的組織は家族に例えられる。リーダーはサーバントリーダーシップを発揮し、メンバーに貢献するようになる。文化と権威の委譲によって、従業員のモチベーションを驚くほど高く高めることができる。

しかし達成型組織と多元的組織には双方に影がある。その影を超越した新たなパラダイムが誕生する。それが『進化型(ティール)』である。

ティール組織の力

進化型パラダイムでは、意思決定の基準が外的なものから内的なものへと移行する。達成型パラダイムのような物質的なものではなく、多元型パラダイムのような人間関係を重視したものでもなく、進化型パラダイムでは自分の内面に照らして正しいかどうかが意思決定の基準になる。一見、危険な結果を生み出しそうな意思決定だったとしても、「この判断は正しそうか?」「私は自分に正直になっているか?」「自分がなりたいと思っている理想の人物は同じように考えるだろうか?」「私はこの世界の役に立っているのだろうか?」を重視しているため、意思決定をした本人は確信をもって意思決定をしている。

このような進化型パラダイムでは、求めるものの優先順位が変動する。富や名声、地位、愛、人間関係を求めるのではなく、充実した人生を求めて意思決定することになる。外的資源を求めるのではなく、自分自身の内面に感じる充足感、幸福感を求めることが進化型パラダイムの人々の意思決定基準になる。

では、このような進化型パラダイムの人々がもつ欲求や願いを叶える組織はありうるのだろうか?

このようなパラダイムをもつ人々の欲求や願いを叶える組織こそが『進化型(ティール)組織』である。

『進化型(ティール)組織』には従来の組織にあるはずのものがない。それは、上下関係、売り上げ目標、予算である。これらをなくし、どのように組織運営を行うのか。企業であれば、そのような組織運営で利益を上げることは可能か。そもそも、企業として継続的に経営を行うことができるのだろうか。

本著で扱っている『進化型(ティール)組織』のモデルとなった組織の一つにオランダでヘルスケアを行っている非営利組織「ヒュートゾルフ」がある。従業員は7万人を超え、オランダ最大の地域看護師の組織として、高齢者や病人の在宅ケアサービスを提供している。

従来の看護師のケアサービスでは、患者の日々のスケジュールを看護師がきめ細かく管理する。より効率的に業務を管理するために、たとえば、静脈注射はちょうど10分、入浴は15分、傷の手当は10分というように細かく管理している。

しかしヒュートゾルフの看護師は違う。ヒュートゾルフの看護師は注射をしたり包帯を巻いたりすることだけを看護だとは捉えていない。

<引用>患者は一人の人間として扱われ尊重される。

そのため、体の問題だけでなく、気持ちや人間関係や精神面でのニーズにも注意を払う。

たとえば、ある女性が在宅治療が長引くに連れて、知人を家に招かなくなるというケースがあったとしよう。ヒュートゾルフの看護師は、「病弱に見える自分の姿を気にして知人を招かなくなったのではないだろうか」と感じたら、美容師を患者の自宅に呼ぶという手配をしても良い。

このように、「患者がどうしたいのか」という声に真剣に耳を傾けるのが『進化型(ティール)組織』の一つであるヒュートゾルフの看護である。

では、果たしてこのような対応をする組は発展しうるのだろうか。この問いに対して、驚くべきデータがある。ヒュートゾルフが一顧客あたりに必要とした介護の時間は他の介護組織よりも40%近く少ないことが、2009年に実施した調査で明らかになったのである。

従来の管理体制のような綿密なプロセスを用いていないにもかかわらず、このような成果を得ることができるのはなぜだろうか。それは『進化型(ティール)組織』の三つの突破口が起因している。

ティール組織の三つの突破口

『進化型(ティール)組織』が『進化型(ティール)組織』であるためには、三つの突破口を満たしている必要がある。

①自主(セルフ)経営(マネジメント)
大組織にあっても、階層やコンセンサスに頼ることなく仲間との関係の中で動くシステム。
②全体性(ホールネス)
職場と家庭で別の顔をする人は多い。しかし『進化型(ティール)組織』では私たちの精神的な全体性をあらためて呼び起こされ、自分をさらけ出して職場に来ようという気にさせるような、一貫した慣行を実践している。
③存在目的
『進化型(ティール)組織』は組織自身の生命と方向感を持っているとみられている。組織が将来どうなりたいのか、どのような目的を達成したいのかに耳を傾け、理解する場に招かれる。

この3つの突破口が『進化型(ティール)組織』である条件である。

従業員が自らを自らの目的や存在意義によって、自主経営し、目的を遂げるために必要な目標を設定する。そこに立場や階層は存在しない。誰もがリーダーに立つ権利があり、プロジェクトを立てる権利を有する。『進化型(ティール)組織』のトップは意思決定をする存在ではない。『進化型(ティール)組織』の世界観を養い、精神的な発達を遂げていくための存在である。
そして、『進化型(ティール)組織』において、従業員は一人の人として尊重される。職場の顔というものは存在せず、趣味、教養、家族やその他の自分が自分たる要素をすべて『進化型(ティール)組織』に持ち込むことができる。そして組織と従業員を突き動かすのはその組織の存在目的である。組織の存在目的と個人の存在目的が一致し、一人ひとりが内発的な動機付けによって突き動かされる。(存在目的を浸透させるための方法については本著をご覧いただきたい。)

『進化型(ティール)組織』には従来の組織論とはことなる前提が敷かれている。

<引用>自らの情熱を持ち、自らが何者かを認識し、自らの創造性を発揮し、自らの方向感覚を持った独立した存在

それが『進化型(ティール)組織』に敷かれている前提である。「人は管理されなければ行動しない生き物である」という従来の組織論とは異なる前提が『進化型(ティール)組織』には内在されている。

この前提の違いが、『進化型(ティール)組織』と『進化型(ティール)組織』以外の組織の発達段階とに大きな違いを生じさせている。それは動機付けの違いである。

『進化型(ティール)組織』以前に誕生していた組織はすべて外的なものに対する動機付けである。富、名声、愛、家族、それらの外的なものを得るために動機付けられていたのが従来の組織である。しかし、現代では新たなパラダイムを有する人々が誕生した。存在目的に耳を傾け、充実した人生を送るために意思決定をする人々である。このような『進化型パラダイム』をもつ人々の欲求や願いを叶えるために誕生した組織こそが『進化型(ティール)組織』である。

『進化型(ティール)組織』では内発的動機付けによって、突き動かされる。存在目的を果たすために、従業員の自主経営が行われ、そこには全体性を取り戻した人として従業員が存在している。

今いる組織は組織の発達段階のどこに位置しているのか。そして、そこにいる従業員はどのようなパラダイムをもっているのか。必ずしも『進化型(ティール)組織』になればいいというわけではない。なぜなら人々のパラダイムの拡張によって誕生したのが『進化型(ティール)組織』だからである。

今一度、現在の組織を深いレベルで見つめなおすために、必要不可欠な一冊である。

☆こんな人におすすめ

・組織改革に興味がある人
・組織論や経営論に興味がある人
・最先端の学問に興味がある人
・リーダーやマネージャーの立場にいる人
・自ら組織を持っている人、または組織を持とうと考えている人
などなど

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