~つるかめ助産院~ Readerたけをvol.7

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★どんな本

夫が姿を消して傷心のまりあは、
一人訪れた南の島で助産院長の鶴田亀子と出会い、
予想外の妊娠を告げられる。
家族の愛を知らずに育った彼女は新しい命を身ごもったことに戸惑うが、
助産院で働くベトナム人のパクチー嬢や産婆のエミリー、
旅人のサミーや妊婦の艶子さんなど、
島の個性豊かな仲間と美しい海に囲まれ、
少しずつ孤独だった過去と向き合うようになり――。
命の誕生と再生の物語。

🌟目次
つるかめ助産院
主な参考資料
特別対談 宮沢りえ

★どんな著者

小川糸 著
1973年生まれ。
著書に小説『食堂かたつむり』『喋々喃々』『ファミリーツリー』
『あつあつを召し上がれ』、絵本『まどれーぬちゃんとまほうのおかし』、
エッセイ『ようこそ、ちきゅう食堂へ』などがある。
2011年『食堂かたつむり』でイタリアのパンカレッラ賞を受賞した。

★学び

この小説の中に出てくる人物の発する言葉から

わたしが学びとして受け取ったものを

抜粋してここに取り上げていきます。

ある南の島を舞台に繰り広げられる

温かく優しい、人々の言葉が並ぶ物語を

一部ですが、お楽しみください^ ^

 自分の選択で歩む

「心を静かにして、自分にとってどうすることが心地よいか、
イメージしてみるの。頭であれこれ考えちゃだめ。
本能で感じなさい。人間だって、動物なんだから。
まりあちゃんにとってどっちが幸せか、
それは自分が自分で決めることなの」

島へやってきた主人公のまりあ。

そこで出会った助産院長の鶴田亀子先生(以後、先生)は

自身の助産院へ招き、

診察室のベットに横になるよう伝えます。

そこで、先生がまりあへ告げたのは、

「おなかに赤ちゃんがいる」ということ。

突然告げられたまりあへ、しっかりと目を見てこの言葉をかけます。

この言葉には、妊婦まりあへ伝えられているのではなく、

まりあという人に向けて伝えられているように感じます。

自分の人生は自分で決める。

人生に責任をもつのに必要な『生きる軸』を

先生は教えてくれているように思います。

『本能で感じること』

『自分が自分で決めること』

「そうよ、頭の中をすっからかんにして、
自然のリズムに沿って生活して、きちんと身体も動かして、
そうやって体と心をリラックスさせるってことが大事なんだもん。
都会で暮らす人達はよく勘違いしちゃうんだけど、
リラックスっていうのは、緩むことでしょう。
緩んでないと、いざという時に力が入らないの。
都会の人たちは、がんばってがんばってリラックスするんだから、
ほんと、笑っちゃうわよねー」

先生の言葉の中には、

こうした生き方・時間の過ごし方の考え方について

多くかかれています。

昔、周りの人に「幸せ」であるように見せたくて、

「幸せそうに見せる」

ことに一生懸命になっていた。

という話をしてくれた人がいました。

その人が、幸せそうに見せることに一生懸命になることをやめたのは、

「幸せである」ことに気付けたからだ。と言います。

こうすれば、こうなる。

という原理原則がありますが、

この考えをもとに生きている先生の言葉の強さには、

強さの中に優しさが込められています。

まりあが、慣れない手つきでニンジンを刻んでいると、

「料理が、まずくなっちゃうさ。
ごはんを作るときはね、常に笑顔で、明るい気持ちで作らなきゃ。
料理って言うのは、それを作る人の赤ん坊みたいなものなんだよ。
悲しい気分で作ったら、食べる人も悲しくなるじゃない。」

「愛想笑いはすぐにバレる。
もっと心から微笑まないと、料理には伝わらないよ。
料理する時は、口笛でも吹きながら、
リラックスして作るのが一番なの」

料理を作るときまでも、明るい気持ちで、幸せを感じながら、

子どもを想うように作る先生が描かれています。

自分が幸せだと感じられるように、生きること。

幸せを感じられるように、生きること。

人生を楽しむヒントも隠されています。

心を温かくする

「あなたは育む人なんだから、それだけでもう、
立派に仕事をしているじゃない。
妊娠中っていうのは、どんなにわがままを言っても構わないの。
赤ちゃんって、その場にいるだけでみんなを幸せな気持ちにするでしょう?
その赤ちゃんを宿しているんだから、育む人も一緒。
そこにいるだけで、空気がぽわーんとまあるくなるの。
赤ちゃんと身一つでいられるなんて今しかないんだし、
貴重な妊婦ライフをもっともっと楽しまなきゃ!」

ここでいう育む人とは、おなかに命を育む人、妊婦さんのことです。

この言葉は、つわりがひどいまりあへ先生から放たれた言葉です。

つわりがひどい時は休んでいていいよ。

と言われ、不安だったまりあの気持ちは

この優しい言葉によって軽くなっていきます。

かけた言葉は相手が求めていた言葉で、

相手の心にあるわだかまりを溶かしてゆく。

ぜひ、つるかめ先生の温かい言葉に触れてみて下さい。

産まれてきたこと

ひときわチカチカと、力強く動いているものが見える。
数日前、私も助産院の本棚においてある妊娠に関する本で、
心拍がいかに大切かを読んで知っていた。
いくら妊娠反応があっても、
赤ちゃんの心拍が確認されるまでは油断できないらしい。
心臓が動いているということは、
赤ちゃんが子宮の中で生きている動かぬ証拠なのだと書かれていた。

心拍は、真夜中に光る灯台のようだ。
赤ちゃんが、ここにいるよ!と大声で知らせてくれているようで心強い。

今では当たり前のように、息を吸って吐いていて。

心臓も動いていて。

日々過ごす中で、心臓が動いていること。生きていること。

を感じることはわたしにとっては少ない体験です。

まだまだ、形もはっきりしない状態だとしても、

心拍のある赤ちゃんを感じ、

「生きている」を感じることの出来る体験。

産まれてくるまでに、多くの過程を経て、

お母さんは成長していきます。

「あなたにも、おへそがあるじゃない。
それって、誰かがあなたを産んでくれた証拠よ。
十月十日、あなたがお母さんのおなかの中に入って守られていた証じゃない。
お母さん、あなたのこと、がんばってがんばって、
痛いのも堪えて、産んだと思うわよ。
楽なお産なんて、絶対にないんだから。
それに、まりあちゃんだって、自分で生まれてきたんでしょう。
お母さんの狭い骨盤に自分の頭をぐいぐいねじ込んで、
自分の意志で回転しながら、必死になって生まれてきたはずよ。」

わたしたちのお腹にあるおへそは、

誰かがわたしやあなたを、産んでくれた証拠。

産まれてくるまでに、

お腹の中で守られていた証拠。

この先生のセリフは、大切なことを教えてくれます。

こんなに近くにある、母を感じる、愛を感じる

産まれてきた、生きてきた証。

母がいなければ、父がいなければ、

そんな母の・父の、両親がいなければ…と、

命のつながりが見えてきます。

大好きな人とも出会って、その人と恋愛をして、
家庭を持って、夫婦にもなれて、今、おなかには
その人との赤ちゃんがいるんでしょう?
それって、本当にラッキーなことよ。
まりあちゃんは、幸せ者よ。
ほんのちょっとタイミングがずれていたって、
そんなふうにはなっていなかったんだし。

産まれてきたこと、それは奇跡です。

今まで出会ってきた人、起きた出来事。

その一つ欠けていたら、今と同じ状況はありません。

「赤ちゃんだって、そんなに簡単に、
母親にはならせてくれないのよ」

先生は、はるかかなたの水平線のほうを見つめていた。

「今、まりあちゃんはおなかの赤ちゃんにテストされているんじゃないかな。
よく、女性は出産をすることで
人生をリセットできるとかって言われるけど、そうじゃないの。
出産に至るまでの過程で、少しずつ無駄なものに気付いたりしながら、
リセットされていくの。
産むことが大事なんじゃなくて、産むまでのプロセスが重要なのよ」

母親としてのまりあ、

そして子としてのまりあ。

どちらにも響く優しい言葉。

ぜひ、ご自身の立場に合わせて、

主人公まりあと照らし合わせながら、

助産院長のつるかめ先生に照らし合わせながら、

読んでみて下さい^ ^

★こんな人にオススメ

・これから出産を控えている人
・すでに子どもを出産されている人
・将来家庭を築きたい人
・疑似体験として、妊娠の体験をして見たい人
etc…

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