~リアリティ・セラピーの理論と実践~Readerかんvol.7

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☆どんな本

ウィリアム・グラッサー氏が開発したうつ病をカウンセリングで完治させることで有名になったリアリティ・セラピーの理論と実践について書かれた一冊。リアリティ・セラピーの基礎理論である選択理論心理学とリアリティ・セラピーの基本的な考え方が書かれている章と具体的なシチュエーションでどのようにかかわるとクライアントの問題解決ができるのか会話ベースで書かれている。
例えば、母親との関係がうまくいっていない男の子へのかかわり方など非常に具体的な場面が描かれており、自分自身の現場にも置き換え安い内容になっている。

☆どんな著者

ロバート・ウォボルディング博士
ゼービア大学教授。カウンセリングを教えるかたわら、カウンセリング・センターの責任者でもある。ウィスコンシン大学マネジメント研究所、その他の団体で、コンサルタントも務められたことがある。これまでアメリカや日本をはじめ、ドイツ、韓国、台湾、インド、シンガポールなどで活躍されている。また、日本には長期間滞在したこともあり、マグロのにぎりととんかつの好きな親日派でもある。(本著より引用)

☆学び

「子どもににんじんを食べさせたい」

もし自分の子どもが「にんじんを残してしまう」という場面に出くわしたらどのような声掛けをするだろうか?
ある親は「にんじんにはビタミンやベータカロチンがたくさん含まれていて、体にいいから食べなくてはいけない」と語るかもしれない。
ある親は「作ってくれた人に失礼でしょ。出されたものはしっかりと食べなさい。」としかるかもしれない。
ある親は子どもが残してしまうという事実を受け止め、落ち込むかもしれない。
では子どもはどうしたらにんじんを食べるようなるのだろう?

本著で扱っているリアリティ・セラピーは基礎理論として選択理論心理学に基づいたカウンセリング手法である。選択理論心理学とは脳科学に基づいて、人がいかに行動を選択しているかを紐解いたものである。
選択理論心理学によると、人は「生存の欲求」、「愛・所属の欲求」、「力の欲求」、「自由の欲求」、「楽しみの欲求」の5つの基本的欲求を満たすために行動している。例えば、睡眠時間を削ってでも仕事の成果を出すために残業をして働いているビジネスマンがいるとする。この人は「寝たい、食べたい」という欲求が含まれている「生存の欲求」よりも、「達成したい、承認されたい、貢献したい、競争に勝ちたい」という欲求が含まれている「力の欲求」を満たそうと行動している。
ただし、人によって5つの基本的欲求の中でどの欲求が強いかは異なっている。生存の欲求が高くて、力の欲求が低い人や、愛所属の欲求が高くて、自由の欲求が低い人など、人によって千差万別だという。
そして、これらの5つの基本的欲求を満たすために人はすべての行動を選択しているというのが選択理論心理学で明らかにしている行動のメカニズムである。そして「上質世界」という脳の中にあるイメージ写真のようなものを得ることで5つの基本的欲求は満たされるのだという。

ここでにんじんを食べない子どもの例で考えてみよう。
にんじんを食べない子どもはにんじんを食べないことで5つの基本的欲求の何を満たしているのだろう?例えば、今まで食べたことがない未知の食材である「にんじん」という物体を目の前にして、恐怖感に駆られ、「安心・安全」が含まれる「生存の欲求」が阻害されているのかもしれない。「生存の欲求」を満たすためににんじんを食べないことを選択しているのかもしれない。

ではこのような子どもが目の前にいた場合、私が親だったらどのようにかかわればいいのだろう?冒頭で述べている親の例のように「論理的」な言葉を投げかけたら子どもはにんじんを食べるようになるのだろうか?

本著で扱っているリアリティ・セラピーでは次のように考えられている。

ニンジンを食べることに価値があると子供と論争しても無益だ。何億という親が「理論的」論争をしても。子供はニンジンを食べない。しかしリアリティ・セラピー全体から出てくる友好的な、揺るぎない人間関係は、はるかに多くのニンジンを消費する結果を生み出す。

どのような説得よりも、親との揺るぎない人間関係を築くことが子どもににんじんを食べさせるベストな方法であると本著では述べている。
それはなぜか。その答えこそが「上質世界」である。「上質世界」は張り替えることができる。にんじんを食べないことで「生存の欲求」を満たすよりも、にんじんを食べて親が喜んでくれて「愛・所属の欲求」が満たされるほうが子どもにとって欲求が満たされるようであれば、子どもはにんじんを食べることを選択する。

学生時代にある教科が苦手だったが、好きな異性にいいところを見せたいがために、勉強を頑張った経験がある人はいないだろうか。(わたしは幾度となくある。笑)
人は上質世界にあるものを得るために行動を選択する。だからこそ、子どもににんじんを食べさせたいのであれば、子どもににんじんを食べるように促すのではなく、子どもとの良好な人間関係を構築する。子どもは大好きな親のことを真似する生き物である。(私が担任をしている中学生ですら真似をしてくる。)大好きな親がおいしそうににんじんを食べている姿を見た子どもは内発的ににんじんを食べようと行動に移す。それは「愛・所属の欲求」を満たすための行動選択である。

このような行動のメカニズムを明らかにし、カウンセリングに適応したのがリアリティ・セラピーである。今回取り上げたのはリアリティ・セラピーのごく一部である。もし、詳細が気になる方がいれば、本著を手に取っていただけたら幸いである。

☆こんな人におすすめ

・教育に携わるすべての人
・パートナーや子ども、家族、職場など良好な人間関係を築きたいと思っている人
・最先端の心理学に興味がある人
・変えたい習慣をお持ちの人
・専門的にカウンセリングを行っている人
などなど

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