~いまどきの子のやる気に火をつけるメンタルトレーニング~Readerかん vol.6

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☆どんな本

メンタルトレーナーの飯山さんが実践されているメンタルトレーニングにおける声掛けの方法をシチュエーション別に学ぶことが出来る一冊。何といっても、この本の売りは「具体的かつ実践的」ということ。わずか半年で甲子園から遠ざかっていた石川県の古豪である星陵高校を甲子園に導いた実績をもとに、普段使っている言葉の使い方を変えるだけでメンバーの成長を創り出せることを実践ベースで伝えている。
第1章ではやる気がない子を前向きにする9つの言い方について。第2章では自信のない子を勇気づける8つの言い方について。第3章では不満ばかり口にする子に使命を与える6つの言い方。第4章ではなかなか行動を起こさない子を動かす8つの言い方。そして最終章の第5章ではピンチに弱い子のメンタルを強くする8つの言い方について書いている。それぞれの章で書かれている言い方は非常に具体的である。例えば、第1章では「なぜできないんだ?」ではなく、「何が原因だ?」と聞くことを提案している。実践ベースではあるが、コーチング理論など確かな根拠に基づいて実践してきたことがよくわかる。
学校教育やスポーツチームに関わる方だけでなく、教育に関わる方、部下やメンバーをお持ちの方にはぜひ読んでいただきたい一冊。

☆どんな著者

飯山晄朗
メンタルコーチ・経営コンサルタント。
2014年夏に石川県大会決勝で最終回に8点差を覆す大逆転勝利で甲子園出場を決めた高校野球の名門である星陵高校でメンタルコーチを務めていた。また、あきらめに支配されていた県立高校野球部を26年ぶりの優勝へ、県立高校水球部を20年ぶりに全国大会の表彰台に導くなど、数々の実績を残している。

☆学び

①行動力アップの秘訣は『明確な理想』

「夢」や「目標」が大切だという話はよく耳にする。私は教員をしているが、夢や目標をもつことの大切さを伝えることを大事にしている。また、誰のために何のためになぜそれをするのかという目的意識の大切さも訴えている。しかし生徒の行動変容を促すのは容易ではない。
本著では子どものやる気を引き出し、前向きな感情を与え、夢や目標を追うことが出来る人を育てるための声掛けの方法を提示している。例えば、何かに取り組む前に子どもとかかわる際に「どうしたらいい?」と問うことがある。「どうしたらいい?」という声掛けは、方法の選択を促す問いかけである。しかしながら、それ以上に効果があるのは「どうなっていたらいい?」という声掛けだという。「どうなっていたらいい?」という声掛けはゴールを明確にするための問いである。著者はこの問いかけを「試合で勝つために」というテーマで話し合いをしてもらった場面で使用している。
話し合いは終始「バッティングを強化するべき」や「守りを強化する方が良い」などの練習方法が争論になっていた。しかし、このような話し合いではなかなか話し合いはまとまらず、最終的には全部やるという結論になりがちである。結果的に、目指している方向に対する効果的な改善案が生まれにくくなる。
そこで、著者は「確かにどれも大事なことだけど、そもそもみんなはどんな勝ち方ができるようになりたいの?」と声をかけた。試合に勝つというゴールをより具体的に描くためにこのような問いかけをしている。その問いかけをきっかけに、著者がメンタルトレーニングを務めていたチームでは「打ち勝つ」ことをチームの方針として選択した。そうすることで、必要な練習方法が見え、打力の強化をテーマに練習方法を定めることが出来た。
ゴールをより具体的にすることで最も効果的な方法を選択することが出来る。ゴールがあいまいな状態で何かに取り組もうとすると、選択に時間がかかるだけでなく、選択の質が下がる。ゴールを明確にするための問いかけはほかにも記載されている。例えば、「目標は?」と問うのではなく「一年後にどうなっていたい?」と問うこともその一つだ。期日を決めることでより具体的なイメージを描くことが出来る。さらに、「そのために○か月後にはどうなっている?」などと聞くことで自己実現していく見通しが立ち、よりやる気が引き出されるという。
このような問いかけの技法のバリエーションを増やすことが出来るのも本著の良さである。

②自信形成の秘訣は『減点法からの脱却』

夢や目標を達成するための大きな支えとなるものが「自信」である。「自信」を育むことは子どもを育てる上で重要な要素である。しかしながら子どもへの期待が大きすぎるがゆえに、思わず叱咤激励し、かえって子どもを委縮させてしまっている指導者も少なくない。本著にもかかれているが、そのような指導者の中には「いけないとはわかっているものの、どうしていいかわからなくて・・・」という方も少なくない。そこで、本著に書かれている具体例をいくつか紹介したい。
まず、思わず「甘えているんじゃない」と言いたくなる場面。私も指導者であるので非常に共感する場面である。このような場面では「不安そうだな」と思いやることを提案している。悩みや不安を抱え、曇った表情をしている子どもには叱責することよりも、思いやりを示すことの方がよっぽど効果がある。このような「自分のことを気にかけてくれている」という信頼感が子どもの本音を引き出す。本音を伝えることが出来るようになれば、徐々に悩みや不安が軽くなり、その子どもがもっている本来のパフォーマンスを引き出すことが出来るようになる。思いやりの態度を示すことが出来たら、それで終わりではない。そこからは叱咤ではなく、感じたままの想いを伝えることが良い。子どもの様子を見ていてい、「いつもと違う」と感じたら、その感じ方をそのまま伝えることで、子どもに新たな気づきを促すことが出来る。指導者は思わず、子どもを正しい方向へ導こうとしてしまいがちである。しかし、本来は子どもが自分自身で気づくことが出来るようになることが理想である。そのためのきっかけづくりは「思いやりを示すこと」と「感じたままを伝えること」で可能になる。
他にも子どもが自信を失いそうになる場面がある。その最たる例が結果が出なかったときである。例えば、スポーツだと勝利できなかったときや思うような記録が出なかったときに思わず自信を失うことがある。そのような時には「うまくいったところは?」と問うことが有効である。理想の結果という100点の状態に対して、上手くいかなかったところをみるのではなく、上手くいったところに注目させてあげる。望むような結果が手に入らなかったとしても、望むような結果にどれくらい近づけているのかに気付かせるかかわりをする。
このようなかかわりには科学的な根拠がある。人は出来事と感情を一緒に記憶する結果が出なかったときに結果が出なかったことに焦点を当て、叱咤激励をした場合に、結果が出ないことに負の感情を抱くことになる。そうすると、結果がでないことを負の感情とともに記憶することになる。そうすると、負の感情から逃避するために結果を出そうというモチベーションが生まれる。このようなネガティブなモチベーションは短期的な爆発力はあるものの、持続性はない。そのため、長いスパンで見た時に本当の意味で子どものためになる指導にはなっていない。結果がでなかったという事実に対して、ポジティブな感情を抱くことが出来るようなかかわりをすることで、結果が出ないことも前向きにとらえ、次に生かそうとする姿勢を育てることが重要だ。そのために、「うまくいったところは?」と問い、子ども自身がどのレベルまでできるようになったのかを発見させていくかかわりをするのである。
できるようになったところをどんどんと加点していくことで、チャレンジすることで得られるものを明確にしていく。その快感を覚えていく中で、チャレンジすることが苦ではなくなる。チャレンジを繰り返すことが出来れば、今まで以上に良い結果も手に入る。そうすれば自然と自信も高まり、より一層大きなチャレンジもできるようになる。このような良いサイクルに子どもをいれていくために、このようなかかわりをすることがおすすめである。

☆こんな人におすすめ

・子ども教育に関わる人
・スポーツチームのコーチや監督を務めている方
・部下やメンバーをお持ちの方
・メンタルを常に好調に保ちたい方
・ネガティブ思考が強い方
・毎日を楽しく過ごすための思考法を知りたい方

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